膀胱腫瘍

2011年12月9日

中年齢以降で、何度も再発する膀胱炎や、血尿、排尿痛や頻尿などの症状が続いた場合には、膀胱の腫瘍も原因の一つとして疑う必要があります。
膀胱腫瘍に特徴的な症状はあまりなく、症状だけでは膀胱炎との区別が難しいのが特徴の一つです。また、身体検査のみでは、症状が全く認められない場合から、時に、骨転位に伴う破行(肢を痛がる症状)だけが症状の場合もあり、診断に注意を要する病気の一つです。

膀胱腫瘍の分類
腫瘍は、上皮系と間葉系という二つのタイプに分類されています。動物の膀胱腫瘍の90~97%が上皮系腫瘍といわれ、その殆どが、悪性度の高い移行上皮癌という報告があります。移行上皮癌は、発病してからの時間経過に比例して、リンパ節や肺へ転移を起こしてしまうため、早期発見が重要な病気の一つです。
好発犬種
ビーグル、シェルティー、スコッティー、エアデール・テリアといわれていますが、基本的にはどの犬種でも発生します。また、殺虫剤や農薬への暴露による誘発の可能性も指摘されています。

膀胱腫瘍の診断
再発性の膀胱炎や重度の血尿などによって疑われます。血液検査、レントゲン検査、エコー検査によって、膀胱腫瘍の状況や位置を確定していきます。確定診断には、尿道カテーテルもしくは手術によって摘出した組織を用いた病理組織検査が必要となります。また、近年、尿中の腫瘍マーカー(V-BTA)を検査することによる補助的な診断方法も利用可能となってきています。

   エコー検査の実際
   正常な膀胱の後方で、腫瘍を疑う異常所見が認められます。
   
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   手術の実際
   
プレゼンテーション1あ
黄色い枠で囲まれた部位が膀胱にできた腫瘍です。
正常な膀胱と比較して、非常に硬い触感で表面がいびつな構造をしています。
手術では、膀胱のみを体外に引き出して、正常な膀胱組織を含むように腫瘍を摘出します。

膀胱の腫瘍は、膀胱炎の診察の際に、エコー検査で発見されることが多い病気です。
中年齢になって、膀胱炎症状(血尿や頻尿、排尿痛など)を繰り返すような症状がある場合には、一度、泌尿器の超音波検査を受けてみることが大切と思います。

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