日本臨床獣医学フォーラム地区大会で会長である石田卓夫先生により講演がありました。
~猫伝染性腹膜炎(FIP)~
強毒コロナウイルスによる猫の致死的な全身性疾患で、単純なウイルス感染ではなく、免疫病理学的な病理で発生する。これまではFIP発症猫からFIPウイルスは排泄されず、他の猫への感染源とはならず、多頭飼育環境で年間10%程度の発生報告がある。猫コロナウイルスには、オリジナルのⅠ型と犬のコロナウイルスと混じったⅡ型が存在し、まれにⅡ型の強毒ウイルスによる集団発生が報告されている。
これまでは、臨床所見と複数の検査異常、猫コロナウイルスの抗体検査で診断を強めてきたが、腸コロナウイルスでも高い抗体価がみられたり、低い抗体価でもFIPを発症しているものもあり、抗体価だけでFIPと診断することができなかった。アイデックスで新しく行われるReal PCRTM Testでは特異性100%でほぼ確定診断ができるようになった。(ただし、検出限界以下の場合もある)
~猫白血病ウイルス(FeLV)~
いままでは、ELISA法という抗原検査で検出してきており、陽性だったものが陰転し、1か月でも陰性となればウイルスはいないと考えてきた。しかし、骨髄細胞中にはプロウイルスDNA(ウイルスが感染するために逆転写したもの)が一定期間残っており、輸血の際にはこれが陰性であることを確認する必要がでてきた。アイデックスでは、より安全な輸血ができるようFeLVを含む複数の感染症PCR検査ができるようになった。
臨床獣医にとっては、診断に結び付けれる検査がまた1つ増え、確定診断を強めることができるようになったのは、大変喜ばしいことです。
獣医師 半澤