子宮蓄膿症

2013年11月9日

中~高齢の雌犬や雌猫で、元気や食欲が低下し、吐いたり、急に水をよく飲むようになった場合、子宮蓄膿症を疑う必要があります。子宮蓄膿症とは、子宮に入り込んだ細菌による感染症によって、子宮内に膿が貯留する疾患です。膿が貯留しはじめる段階では、なんとなく元気や食欲がない程度の症状しか現れないのですが、病気の進行に伴って、多飲多尿や嘔吐などの症状が現れるようになります。やがて子宮が膿によって限界まで膨らむと、陰部からの排膿が起こることによって初めて気付かれることが多い疾患です。

子宮蓄膿症の原因
はっきりとした原因は不明とされます。ただ、発情期に子宮内に入り込んだ細菌の感染が発症の引き金となります。

子宮蓄膿症の症状
・元気食欲の消失
・水をよく飲む、尿の量が増える
・発熱
・嘔吐
・陰部からの俳膿、腹部膨満

子宮蓄膿症の診断
臨床症状によって疑います。レントゲン検査、エコー検査などによって診断されます。

診断の実際
↑の付近でモコモコとした塊に見えるのが拡張した子宮を示唆しています。
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子宮蓄膿症の治療

外科手術
治療の第一選択となります。ただし、子宮蓄膿症が高齢動物での発症が多いこと、また、子宮蓄膿症の進行によって体力が落ちてしまっていること等の理由によって、他の外科手術と比較して死亡リスクの高い手術の一つと考えられます。

内科療法
高齢または他の重篤な疾患によって麻酔がかけられない場合に、子宮蓄膿症の内科療法として適応となるAlizin(アリジン)という内服薬があります。ただし、国内では入手が出来ないこと、内服薬で改善しても再発をすることがあること等より、適応には慎重な判断が必要となります。詳しくはご来院の上ご相談下さい。

外科手術の実際(写真は白黒に処理してあります)
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同じくらいの体格の犬の子宮の写真です。左側が通常の大きさの子宮に対して
右側がパンパンに膨らんでいることがわかります。(縮尺は変えています)

子宮蓄膿症の治療は、蓄膿により限界まで膨らんだ子宮が破れてしまうことを予防する外科治療と、蓄膿症(感染症)によって、体内に侵入してきた細菌に対する内科治療と、細菌の毒素による二次的致死的反応に対する内科治療との組み合わせによる治療が必要となります。子宮蓄膿症を発症する年齢が比較的高齢であることからも、術前術後の死亡率が高い手術となるため、避妊手術による予防がとても有効かつ大切な疾患の一つといえます。しかしながら近年、避妊手術のデメリットもいくつかいわれるようになってきている事もあり、メリット・デメリットを考えてからの適切な判断が求められると思います。

 

 

 

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