猫のぶどう膜炎

2018年4月11日

愛猫の目の色が濁っていたり、赤いと感じた場合はぶどう膜炎という病気を疑うことができます。何らかの原因により、眼球内のぶどう膜と呼ばれる構造に炎症が生じ、眼内の出血やフィブリンの沈着、網膜の浮腫や剥離などが生じてしまう疾患をぶどう膜炎と呼びます。ぶどう膜炎は長期化することによって続発性緑内障や白内障などの失明に至る合併症を出してしまう事があります。

?猫のぶどう膜炎の原因
外傷性ぶどう膜炎と内因性ぶどう膜炎に大別されます。

外傷性ぶどう膜炎
猫同士のケンカなどによる外傷や、角膜潰瘍、水晶体脱臼などに
内因性ぶどう膜炎
およそ70%で特発性とされています。次いで感染症(FIP、FIV、FELV、トキソプラズマ、バルトネラ)、や腫瘍等の基礎疾患が原因として報告されています。また免疫介在性疾患の存在も知られています。

?ぶどう膜炎の診断
角膜後面沈着物、光彩の腫脹、眼房フレア、フィブリン、網膜反射低下性病変、網膜浮腫や剥離によって診断します。除外診断(血液検査。レントゲン検査、エコー検査、尿検査、血圧検査、眼圧測定、感染症検査(IDEXX))によって、基礎疾患の診断を試みます。

?ぶどう膜炎の治療
基礎疾患が特定できた場合には、その治療をおこないます。約70%で特発性のため、ぶどう膜炎の治療は一般的に対象療法が中心となります。

○抗炎症治療:ステロイドや非ステロイド系消炎剤の点眼薬
○房水の流れの改善:副交感神経遮断薬の点眼薬
○感染:抗生剤の試験的経口投与
○角膜障害:ヒアルロン酸点眼剤
○眼圧上昇:炭酸脱水素酵素阻害薬の点眼薬

ぶどう膜炎は、特発性(原因の特定ができない)に発症することが多く、進行してしまうと失明に至ってしまう重い眼科疾患の一つです。臨床症状が軽度の場合、初期変化に気づけないこともあります。また、年齢の共に発生する白内障や各硬化症といった水晶体の変化に伴い目の色の変化を加齢性変化と捉えてしまう場合もあるかと思います。眼の疾患における眼球の変化には非可逆的なものが多く含まれることより、気になる変化があった場合には早めの受診をお勧めしております。

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