犬・猫用の腸内フローラの移植治療を行なっております。
対象疾患
○アトピー性皮膚炎
○免疫介在性の腸疾患
○原因のわからない慢性の消化器疾患
○薬剤難治性のてんかん様発作
治療目的
症状の緩和・改善
移植方法
第1ステップ
予め施術予定の1週間前までにご来院ください。
これまでの臨床経過や治療内容の確認を行います。
第2ステップ
一回目の移植を実施(浣腸方式で10分程度)
第3ステップ
一回目から1〜2日に二回目の移植を実施
第4ステップ
二回目から1週間後に三回目を実施して終了です。
副作用について
稀に施術直後の軽微な下痢、発熱、一過性の便秘、腹囲膨満などの報告がありますが、基本的には軽微な症状です。
投与回数について
1クール3回が基本となります。効果が持続しない場合、同治療を繰り返す事が可能です。
定着率は?
明確なデータは不明とされています。ただし、一度体内に定着したものは、大きなストレスや体調の悪化がない限りは安定という報告がなされています。
〜なぜ腸内フローラの移植が期待されているのか?〜
腸内フローラとは、動物や人の腸内に生息している数千とも数万種類とも言われる微生物達の集まりを意味する言葉で、『もう一つの臓器』とも呼ばれている程その重要性に注目が集まっています。これらの微生物は、腸内に入ってくる『食べた物』をエサとして様々な代謝物を生成しています。人や動物は、それら微生物が生成した代謝物を腸管から吸収し、体内で様々な物質の合成や細胞の分化にまで利用していることが次々に明らかになってきています。つまり、正常な腸内フローラが正常な代謝物を生成し、その代謝物を吸収した体内で、正常な恒常性に必要な様々な活動が行われているという考え方です。
食生活の乱れや病気、抗生剤の多用などを原因に、腸内フローラのバランスが崩れてしまうと、同じ『食べた物』であっても生成される代謝物が異なります。その結果、正常な恒常性に必要な代謝物の量に変化が生じ、体調や体質にも変化が生じます。
そのため、腸内フローラが自力で回復できない状態に陥っている場合、どんなにお薬を頑張って続けても、微生物が生成する代謝物が異なる以上は、その効果には限界があるという考え方から、健康な腸内フローラの移植に重要性が指摘されるようになったわけとなります。
腸内フローラの主な役割
○免疫機能の調整
○細胞組織の再生や抗酸化作用
○脳腸相関(脳の安定化に重要なセロトニンの合成)
〜余談〜
以前からマラソン選手などの持久力の高い人の腸内細菌の研究も進められていて、腸内細菌の一種であるB.uniformisが生成する代謝物(酢酸やプロピオン酸)が、体内に吸収されることで肝臓でのグルコース生成が促進されていることが近年になって明らかにされ、その結果グルコースをエネルギー源に持久力が向上するという驚きの仕組みです。