学会では、人医療の先生に講演を依頼させていただき人医療の先端技術を垣間見る機会があります。数年前までは特別公演という形で時々、近年ではどの学会でもほぼ毎回、こうしした公演を聴講することができるようになりました。今回の学会では、京都大学iPS細胞研究所の妻木範行先生、京都大学の黒田隆先生、ユタ大学細胞シート再生医療センター長の岡野光夫先生の公演を聞くことができました。難治性の大腿骨頭壊死症に対しては、人医の世界においても外科的に切除してしまうことが世界的な標準治療の中、日本で、iPS細胞やrhFGF−2という成長因子を用いた再生治療で新たな標準治療を目指している活動には感銘を受けました。また、細胞シート再生医療とうい分野では、人工的に細胞から組織・臓器を再構築し、それを用いて治療する再生医療の臨床研究が、角膜、心筋、食道、歯根膜、軟骨、中耳にまで波及し、病気の根本治療に向けた次世代型医療が着々と進んでいる事も感じることができました。再生医療は、その費用の問題で動物の臨床現場で使用できるまでには相当の時間がかかると思われますが、普及が進めば、これまで治せなかった病気が治せるという時代もそんなに先ではないと感じた学会でした。