第108回日本獣医麻酔外科学会 

コロナを境に獣医学の学会もWEB開催を行うようになったのですが、実際の会場で行う学会が復活した現在も、好きな時間に講演を聞けたり、病院を休まなくても良いなどの利便性を理由に、会場とWEBのハイブリッド開催が主流になっています。通常は私もほぼWEB学会を受講しているのですが、今回は外科のドライラボ参加のため直接会場での実習に行かせていただきました。

今回は、膝蓋骨内方脱臼を併発した前十時靭帯断裂症例に対するTPLO術の各種工夫方法や小型犬の前十字靭帯断裂におけるTPLO術の有用性などに関するアップデートを学ぶことができました。ドライラボで使用した新しいプレートの発想は秀逸で、従来の方法よりもかなり綺麗に膝蓋骨内方脱臼と前十字靭帯の併発症例の外科ができるようになった点に感動できました。新しいプレートは、外科の術後成績の向上、合併症の低減にとって重要な役割を担ってくれそうでした。

また、TPLO術(前十字靭帯断裂の手術方法)を受けるコ達にとって、とても朗報となったのが、長らく意見が統一されていなかったTPLO後のプレート抜去術の必要性についてです。これまでは、抜去する病院もあれば残す病院もあり判断はアップデートの時期や考え方で別れていました。獣医学的には甲乙つけ難い選択肢ですが、動物やご家族にとっては、肉体的、経済的負担が少なくない選択肢でした。朗報とはこの選択に関してですが、統計学的にプレートを残した場合のデメリットを見出す事ができず、獣医学的指針として抜去不要と報告されました。もちろん個々の症例により絶対的指針ではないのですが、今後は抜去の必要性を見出せない限りは原則残すという方針に、今回の学会に参加さる事で当院は切り替える事ができました。