看護師通信

猫の認知症

こんにちは、看護師の阿部です。本日は猫ちゃんの認知症についてまとめてみましたので、ご参考になればうれしいです!
最近では猫も人と同じで高齢化が進み、高齢の猫ちゃんが増えてきています。そんな猫ちゃんにも人と同じように認知症という症状があります。人では85歳の約50%にそのような徴候が認められると言われていますが、猫ちゃんの場合、15歳の約50%程と考えられています。

●認知症の主な症状
・不適切な排泄
・猫同士や人に対しての攻撃性
・過剰な鳴き声
・落ち着きがない
・見当障害
・徘徊 恐がる、隠れる
・まとわりつく など
しかし、このような症状の全てが認知症とは限らず、色んな組織の劣化を反映している場合もあるので注意が必要です。

例えば「不適切な排泄」は、トイレに入ろうとしたときの関節の痛みからだったり、猫ちゃんの頭をなでようとしたときに飼い主さんに攻撃してくることは、歯の痛みからや、甲状腺機能亢進症という病気だったりします。また、隠れたり恐がるような行動の不安感は腎臓疾患の一つの症状として出ることもあります。

猫ちゃんの認知症を疑う場合、環境変化(赤ちゃんや新しい動物を迎え入れた、引越しなど)と、他の内科的問題の2つを除外しなくてはなりません。従って、飼い主さんから聞く猫ちゃんの情報はとっても大事です。

●認知症の治療
薬物療法:過剰な鳴き声や見当障害に対してお薬を使う
栄養・食事管理:抗酸化物質や魚油などを含むサプリメントやごはんにする
行動療法適度な運動や新しい遊びを取り入れて刺激を与える
新たな環境改善を避ける:子猫を迎え入れる、トイレの場所を変えるなど

★猫ちゃんのためにお家でできること★
高齢になってくると、若いときはできていたことが上手くできないことが多くなってきます。お家でできる改善点をいくつかご紹介いたします。

例えば…
・最近段差の昇り降りが苦手になってきた
→ベッドや窓際などお気に入りの場所に踏み台をつけてあげる
・トイレに入るのが大変そう…
→できるだけ段差のないトイレに変えてみる
・トイレには入れるけど失敗することが多くなった
→トイレの周りにシーツをひいてあげる
・物の場所など昔に比べてわからなくなっている…?
→大きな模様替えをしない、移動しやすいように猫用ドアをつけてあげる など

また、ごはんやお水を飲みやすいように器の高さを調節してあげるのも良いかもしれませんね。

認知症は人と同じで治癒ができない病気ですが、進行を遅らせることはできます。猫ちゃんと飼い主さんが少しでも長く、よりよく生活できるためには早期診断、早期治療が大切です。昔と違って最近よく鳴くようになったり、いつもできていたことができなくなったり、何か気になることがあれば歳のせいかな?と思わず、お気軽にご相談ください。

看護師:阿部

わんちゃんの歯磨き

こんにちは!
5月も終わり、暖かい日が増え、お散歩が楽しい季節になってきましたね。
お昼の気温の高い時間帯には、熱中症に気を付けましょう!

さて今回は、なかなか難しいと言われているわんちゃんの歯磨きについての内容です。
わんちゃんの口臭、歯肉炎などが気になっていて、歯磨きにチャレンジしたいと思っている方も多いのではないでしょうか?

○歯の管理が必要な理由
近年、わんちゃんの口腔内衛生に対する意識の向上により、中高齢のわんちゃんが動物病院に来院する理由の上位に、口腔内疾患があげられるようになってきています。口腔内疾患の中でも歯石による口臭や歯肉炎が多く、近年の報告ではこの歯石に付着する口腔内細菌が、傷んだ歯肉から血管内へと進入し、さまざまな病気を起こす原因となることがわかってきています。わんちゃんの健康を守るためにも、口腔内のケアはとても大切です。

○歯石と歯肉炎
歯石とは、歯に付着した歯垢と、唾液中に含まれるカルシウムなどが反応して石灰化した固形物です。数年かけて徐々に蓄積し、一度歯石がついてしまうと自宅での除去が困難なことから、日常の管理による予防が重要といえます。歯石の予防には歯の表面についたヌメリ(歯垢)を除去する必要があります。
歯肉炎は一度なってしまうと痛みにより口を触られるのをとても嫌がるようになってしまうため、問題が起こってからでは歯磨きを始めるのは非常に難しくなります。幼いころから口の中を触られる練習をしておくのが良いでしょう。

○歯磨きの方法
いきなり歯を磨こうと無理をしてしまうと歯磨きが嫌いになってしまい、その後が大変になってしまうので、長い目で見て徐々に慣れさせてあげることを心がけましょう。
・始めの1~2週間
歯磨きの練習は、わんちゃんも飼い主もリラックスした気分の良い状態で始めましょう。始めは頭や口周りを撫でたり触れるようにし、一度に行う時間は1~2分と短い時間にします。指で奥歯だけや歯茎を軽く触れることもしてみてください。終わった後は遊んであげたり、ご褒美をあげて褒めてあげましょう。

・2週間目~2か月目
指で全ての歯に触れてみましょう。一度に行う時間は5分程度とし、慣れてきたらガーゼや指サック、軍手で歯や歯茎をこすり始めます。ここで焦らずに、嫌がるようなら無理せず前のステップに戻ることも大切です!わんちゃんのペースに合わせてあげましょう。

・2か月目以降
いよいよ歯ブラシの挑戦です。歯ブラシはわんちゃんの大きさに合わせて動物用や成人用の歯ブラシが利用できます。また小さいわんちゃんの場合は小児用の歯ブラシをカットして利用できます。通常、推奨される方法は、ブラシを歯肉に対して45度の角度にあて、そっと円を描くように歯の根元から先端に向けて磨いていく方法ですが、それぞれの歯(特に歯肉との境目付近)をさっと擦るだけでも効果的といわれています。歯ブラシも少しずつ慣れさせてあげるように、ゆっくり進めていきましょう。

歯磨きは、歯ブラシで磨くことが一番効果的と言われていますが、わんちゃんの性格や大きさによっては困難な場合もあるので、口腔内を傷つけてしまうときや無理と思われる場合は、ガーゼや指サックで行うようにしてください。
歯垢が歯石になるまでは3日かかるといわれていますので、毎日の歯磨きが大変な場合は、3日に1回を目標に頑張ってみましょう。

当院では歯磨きを少しでも手助けできるような各種グッズをご用意しておりますので、ご興味のあるかたはスタッフまでお気軽にお声がけください^^
わんちゃんのためにも、歯磨きの習慣を身に着けられるようチャレンジしてみてください。

看護師:小野

春先に必要な予防について

こんにちは。
だんだん暖かくなり、もうすぐ桜が咲く時期になりますね。
お散歩でお花見に行く方も多くいるのではないでしょうか?
今回は春先から行っている、予防についての紹介をします!

○犬糸状虫症(フィラリア)の予防について
犬糸状虫症とは、蚊の体内に寄生しているフィラリアの子虫が、蚊の刺咬によってわんちゃんの体内へと感染する寄生虫感染症です。感染したフィラリアの子虫は、わんちゃんの皮膚や筋肉内で成長しながら、血管内へ侵入し、最大で約30㎝のそうめん状の成虫となります。血液の流れに乗って成虫はやがて心臓まで到達し、心臓や肺の血管につまることで致死的な合併症を起こします。成虫が血管内につまってしまうと、外科的な治療が必要になるため、予防がとても大切です!
フィラリア症は、蚊が発生する時期の1か月後から、いなくなった時期の1か月後まで毎月1回の予防薬で予防ができる感染症です。当院では3タイプの予防薬をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

○ノミ・ダニの予防について
ノミは体調が2㎜ほどの昆虫で、犬から犬へと感染します。刺咬によって犬に皮膚の痒みやアレルギー性皮膚炎を起こします。マダニは主に草むらなどに潜み、犬が草むらを通ることで犬の体表について寄生します。刺咬によって犬に皮膚の痒みや細菌感染症を起こします。
ノミ・ダニの予防には、一般的にはスプレー式や滴下式の皮膚コート剤を皮膚に塗る方法が効果的です。ノミとり首輪やノミとり粉、シャンプーなどもありますが、効果に疑問があったり、体調を崩した例もあるので注意が必要です。
ノミ・マダニ感染の問題には、上記以外にも、刺咬によってノミ・マダニ内に寄生する寄生虫が犬の体内に侵入し、体内で増殖、伝播することで発生する人獣共通感染症があげられることから、人の健康被害の予防という観点からも重要となります!予防期間はノミ・ダニの発生する期間や流行年によって異なります。
今年はすでにダニがついてしまったわんちゃんもいるので、まだ予防していない方は、草むらに入るときは十分に注意しましょう。また、もしダニがついてしまったときは、無理に取ってしまうとダニの頭だけが残ってしまうことがよくありますので、早めにご来院ください。

今回はフィラリア症とノミ・ダニの予防についての紹介でしたが、より詳しく書かれたパンフレットを受付にご用意しておりますので、ぜひご覧ください。また質問等がございましたら、お気軽にご相談くださいね^^

看護師:小野

看護師セミナー

先日4月6日に東京へ看護師セミナー参加のために行ってきました。
今回のセミナーでは、社会人としての基礎やプロとしての心構えなど
動物看護師として大切な様々な事を学びました。
今回学んだ事を院内でしっかりと共有し、学んだ事を実践していけるよう
精進していきたいと思います。
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看護師:坂本、山口

3つの健康チェック

こんにちは!
3月ももうすぐ終わり、新しいスタート時期となりますね。最近は暖かくなり雪も溶け始め、春らしくなってきました。今回はわんちゃんと一緒に暮らす中で、とても大普段の3つの健康チェックについて紹介します^^

わんちゃんの平均寿命は犬種にもよりますが、13歳前後と言われています。5歳を過ぎるころから老化に伴うさまざまな変化がでてきます。これらの変化は非常に緩やかに進むため、飼い主さんが気づかないこともあります。
老化に伴う健康問題の中には、自宅での注意深い観察によって早期発見されるケースも多いため、健康で若い頃からの健康チェックの習慣はとても大切と考えられています。

健康チェックで大切なことは、まずは飼い主さんがリラックスしてわんちゃんを扱える時間がある時に、最初は1、2分、そして、わんちゃんが慣れてきたら少しづつ時間を伸ばして実施していくことと思われます。

3つの健康チェック
○皮膚チェック
○口腔内チェック
○関節チェック

皮膚チェック
眼、口、耳まわり→背中→脇やお腹、陰部まわり→足先の順に、わんちゃんがリラックスしているときに撫でながら観察しましょう。
皮膚は体内の状況をよく反映します。皮膚の色や被毛のツヤを観察していきます。皮膚チェックは、皮膚疾患以外にも、アレルギーや内臓疾患、ホルモン疾患等の早期発見につながります。脱毛が左右対称性かどうか、痒みがあるかどうか等もポイントとなってきます。
写真①
口腔内チェック

唇をめくって歯を指で触る練習から始めましょう。徐々に奥歯や歯の内側、少し口をあけて舌に触れるようにしましょう。子犬の時には口蓋裂などの口腔内奇形や乳歯遺残、年齢が進むにつれて歯石沈着や歯肉炎、腫瘍など、さまざまな口腔内疾患の早期発見につながります。口の中に問題が生じると、口腔内チェックに慣れていない犬は痛みによってなかなか口の中を見せてくれません。子犬のころからチェックに慣れさせることが大切ですね。
写真②
関節チェック
肩、肘、手首、股関節、膝、足首を無理のない力で、マッサージをするようにゆっくり伸ばしたり曲げたりして動かしてみましょう。
関節疾患は、自宅での歩き方の観察で発見されること多いと思われますが、年齢と共に少しずつ進行する関節炎などの発見は歩様の観察だけでは難しく、触診時の感覚(健康時の関節の滑らかな動きと比較)の違和感で早期発見されることもあります。
写真③

普段のコミュニケーションの中に健康チェックを取り入れることで、愛犬愛猫との触れ合いの時間が増えると同時に、体の何らかの変化を早期に発見できる可能性をもつことができます。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

看護師:小野