2020年1月3日

現在のコンセンサスにおける手術適応基準

以下のような基準があるのですが、主に赤文字部分の評価方法が曖昧なため、獣医師間で手術適応に至るタイミングに開きが出てしまいます。

  • 小型犬成犬で、痛みや機能障害を有する、またはそれに発展する可能性がある場合
  • 小型犬成犬の、軽度脱臼で無症状の場合は手術適応とはならない
  • 中型犬以上では、無症状でも合併症発現の可能性が高いため早期の手術が推奨される
  • 体格を問わず成長期に臨床症状を有する場合

上文の赤文字部分をどう捉えるかで判断が変わるのですが、痛みや機能障害に発展する可能性を正確に予測する方法はなく、また、無症状なのか症状に気づけていないだけなのかを判別する方法も確立されていません。さらには中型犬以上とはあるものの犬の体重による明確は区分や体格(痩せ型〜肥満型)、運動量や性格などは考慮に含まれておらず、そのために赤文字部分の捉え方に差が生じやすく、それがそのまま手術適応基準の差につながってしまいます。もちろん各種検査や獣医師個々人の経験をもとに可能な限り最善の判断に努めてはいるものの、『予測』の域を出ることはできていません。『予測』が判断の根拠となっているため、冒頭の、同じ膝の症状にもかかわらず、早急な手術判断から経過観察までの大きな差となると考えられます。

しかし、手術を受けるコ達にとっては、手術の際の緊張や痛みも、手術を受けれなかった場合の痛みや非快適も、どちらも大きな問題です。そのため予測の精度をあげる事は我々獣医師にとっても大きな使命ともいえます。

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