Dr野上の腫瘍講座 犬の腫瘍マーカーについて

2025年3月20日

ヒトの医療では様々な腫瘍マーカーが検診や治療において多く用いられているのに対し、動物の腫瘍マーカーはごく限られた種類のものしかなく、血液検査にて幅広く腫瘍リスクの評価を行うことは困難とされていました。そんな中、昨年より犬の腫瘍マーカー(Nu.Q® Vet Cancer Test  富士フィルムベットシステムズ)が日常診療においても利用できるようになりましたので、ご紹介させていただきます。

この検査では、犬から採取した血液2mlを用いて以下の7つの腫瘍罹患リスクを評価することができます(※腫瘍の種類の特定はできません)。         

  • リンパ腫
  • 血管肉腫
  • 組織急性肉腫
  • 肥満細胞腫
  • 悪性黒色腫
  • 軟部組織肉腫
  • 骨肉腫               

少量の血液で検査可能なため、他の検査と比較して動物たちへの負担が非常に少なく、犬で特に発生の多い腫瘍の早期発見につながりうる点が大きなメリットです。

原理

がんに罹患した動物の体内では、がん細胞が壊れるときにヌクレオソームと呼ばれる物質が血液中に放出されます。その血液中のヌクレオソーム濃度を測定することで、体内にがんが存在するかどうか調べることができます。

この検査では上記の7つの腫瘍のうち、血液やリンパ節などの全身に腫瘍が発生するリンパ腫、血管肉腫、組織球性肉腫では特に検出感度が高く(76%)、軟部組織肉腫などの比較的増殖速度の遅い固形腫瘍では感度が低いことが報告されています。とくに血管肉腫の発生率の高い7歳以上の大型犬では、腫瘍が進行する前に発見し治療することで大きく予後が変わる可能性があり、有用な検査方法の一つであると思います。

      

結果の解釈

結果は、以下の3つに分類されます。

〇ハイリスク:腫瘍の可能性があるため、レントゲンやエコーなどの追加検査が必要です。

〇グレーゾーン:数値の上昇につながる様々な要因が考えられるため、再検査をお勧めします。

〇ローリスク:腫瘍の可能性が低く、定期的な健康診断の継続をお勧めします。

適応

〇血液検査やその他の健康診断のオプションとして

〇腫瘍の早期発見を目的とした定期検査として

〇腫瘍治療中や治療後のモニタリングとして

ご希望の方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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